インタビュー 看護補助者編
看護チームの一員として
“患者さんを大切に 家族さんにも安心を”
Aさん:介護士として、自分のスキルアップを目指している。
Bさん:アシストとして勤務後、介護士資格を取得。この11月から介護士としてお仕事中。
お仕事の内容は?
A:介護士の仕事は、入院をされる方の身の回りのお世話、例えば食事の配膳や下膳、検査への移動、環境整備、介助が必要な方にはお食事の介助、排泄の介助であったり、清拭、シャワーの介助、洗髪、身体整容は看護師の指示で口腔ケアや髭剃り、洗面等を行なったりしています。他には、アシストさんの業務を一緒にしたりしています。
患者さんから、直接、髭剃りの希望があったら、一度看護師に確認して実施しています。
みんながきれいに気持ちよくお仕事できるように・・・縁の下の力持ち”
B:アシストの仕事は、ざっくり言えば、看護師さんのお手伝い。
家でしている片づけを病院でしている感じ。物品の補充や配茶、お茶の器械の清掃とか・・・。お茶の器械でも少なくても2週間に1回でも部品を分解してきれいに洗うようにCさんにも伝えている。この前、患者さんに「ああいうところは一番汚れるのにいつもきれいやねー」って言ってくれはったから、そのことをCさんに伝えたら、すっごく嬉しそうやって、見てないようで見てくれていて、それを聞くと励みになる。気づいてもらえることでスイッチの入り方が変わります。
普通に歩いているときも至る所に目が行って、あれがない、あれが抜けてる、時間があったら手すり拭こうかなとか、そういうのがアシストの仕事かなって。看護師や介護士はそこまで手が回らないけど、そこをしておけばみんなすごくきれいに気持ちよく使えるっていうところを自分で見つけてこうした方がいいかな・・・ああした方がいいかな・・・って考えながら、自分なりにも出来るから。何かあったときに「もうできてます」ってスムーズにいくのを見ると「やった!!」って自分の中でなる。仕事の中では看護補助って目立たなくて患者さんからも何をしてんの?って言われるとは思うけど、縁の下の力持ちって感じかなって思ってます。
これだけは大事にしていること
“介護士さんがいてくれるから、安心して帰れる”
A:羞恥心・・・もし、自分に置き換えたり、自分の家族に置き換えたときに、やっぱりトイレとか自分で行けない時に、自分の経験、親とかを見ていても羞恥心への配慮っていうのは、一番気を付けたいこと。あと、礼儀をわきまえること。出しゃばりすぎるとそれが気にかかる患者さんもいらっしゃると思うので、すごく気を付けていますし、“笑顔”も忘れてはいけないことだけど、その笑顔も必ずしもいい場合ばかりではないことを経験で感じたことがあって、そこからは、笑顔を含めた相手に合わせた礼儀をわきまえるということを大切にしています。
私も若いころ、病院に親が入院していて、嫌な思いをしたことがあるので、おうちに帰った家族さんも心配されていると思うんです。そういう時に、「介護士さんがいてくれるから安心して一声かけて帰れる」って思ってもらえるように心がけています。
“気づかれないところまでの心配り”
B:私も自分だったらとか、自分の家族だったらと思って仕事しています。患者さんが寝ているベッドも長く入院してたりすると汚れてくるじゃないですか・・・。自分だったら汚れたベッドに寝ているなんて嫌なので、だから、今日この患者さんがリハビリ行かれる間にこっちのベッドに変更したいとか看護師に言って、患者さんのベッドがいつもきれいなようにしていました。他にも、患者さんにお茶を配るときも、ただ、単に配茶をするだけじゃなくて、水筒も絶対にきれいにして、患者さんも気づいてないかもしれないけど、自己満足で、きれいな水筒でお茶を飲んでもらってるって。
当センターで働こうと思ったきっかけは?
A:いずれ在宅で過ごされる方が、今、すごく多くなってきたときに、病院で働いた経験っていうのは介護士にとってすごく必要な経験だと思います。介護士だけだと情報共有はできるけど、病院には看護師というプロの人がいて、リハビリとかの専門職の人がいるので、意識の高いこととか学べるかなって思いました。今であれば、志高い看護師さんとかもいるので、そこから学べることがあるのかなって思ってます。病院で1回は働いてみたいって思ってました。
病院で働いていてよかったこと
A:認知症ケア専門士、福祉住環境コーディネーターの試験とかにしても病院の患者さんに関する問題とかも出てくるので、多分病院にいなければわからないこともあって、逆に施設にいないとわからない問題もあるけど・・・。自分のスキルを上げていくにはいいと思う。病院で働く介護士さんて少ないじゃないですか、私もそうだったんですが、多分、病院では実務経験が取れないと思っている人が多いんじゃないかなって思うんです。介護福祉士や介護支援専門員試験を受ける時にも実務経験が必要なんですが、病院では実務経験がもらえないと思って、施設で働いている方も多いと思います。もらえない病院もありますが、ここの病院は介護士としての実務経験を認めてもらえるので、ここでもらって受けたという人もいるので、いいと思います。
お仕事していて楽しいと感じたことは?
“患者さんのありがとうに支えられて・・・”
A:入院していて、気持ちがイライラしたりする患者さんもいらっしゃるんですが、そこに私たちがご飯を持って行ったりする場面があって、当然、私にも気持ちをぶつけられることがあったんですが、対応することでその場は治まったんです。でも、その次の日もその次の日も、食事を持っていったり、下げたり、体を拭かせてもらうときも、態度は変えることなく、まだ怒ってはるかな・・・とか考えながら関わって、退院の日、患者支援センターまで案内するときに「入院した時にきつく当たって、悪いことしたなって思ってた。だけど、毎日笑顔で接してくれてすごくプロやと思った。」って言ってもらった時にすごくうれしかったし、やっててよかったなって。「ありがとう」って言ってもらえる仕事って他には少ない。患者さんの「ありがとう」に支えられてる。イラっとしている人たちの気持ちがどんどん変わっていくのが自分の腕の見せ所かなって思ったりすると、やりがいを感じるし、それがあるから続けられるのかなって。
前に、患者さんに「お天気晴れてきたよ」って言った時に、患者さんが「天気は晴れてんねんけど、心は晴れてないねんな」って言わはって、その時に何気に言ってるけど、会話の一つとして言った言葉が必ずしも患者さんにとってはそうじゃないんだということを教わったことがあって、怒ってはるわけではなくて、話せるからそういう風に言ってくれはったと思うし、そういうところでまた学ばせてもらっています。
職場の雰囲気は?
“お互いさまの気持ちで働きやすい職場”
A:看護師さんも「ありがとう」って言ってくれることが多くて、自分ができることがあったらやろうって思える。お昼ご飯の時には、他の介護士やアシストさんと仕事以外のこととかもお菓子食べながら話して、こういう時間にいろいろなことを共有出来て、残りの時間も頑張ろうってなるから、こういう時間は介護施設にはなかったかも。
B:看護師さんがすごく優しいし、どの人でも聞きやすい。私は、介護士になって間がないからAさんに聞くこともあるけど、Aさんがいない時は看護師さんにすぐ聞けるし、私がこの人私一人では不安やっていうと、すぐ一緒に来てくれます。わからないことをいつでも尋ねやすいアットホームな雰囲気です。
あと、子供が熱を出して帰らないといけない時にすごく帰りやすい。みんな子供さんいる人もいるので、協力しやすいし、自分の体調が悪い時でも師長さんが率先して「お互いさまやねんから休み」って言ってくれはるから、休みやすい。自分でほかの変わり探さな休まれへんなんてことなくて、それがすごくいいと思う。子供さんいてはる人でも、子供さん急に熱出ても、休ませてもらえるし、週に何回とかからでも働けるので、すごく働きやすいと思います。
A:聞ける人がいるっていうのと、1人でっていうのがないのが、一番大きいかな。初心者の人でも誰かと一緒に動けることが多いので安心して働けます。
このお仕事をしてみたいと思っている方へメッセージ
A:ここでのお仕事はとても忙しく体力もいりますが、実務経験がカウントされるので介護福祉士や介護支援専門員、認知症ケア専門士等、資格取得を目指す方、スキルアップしたい方に適した職場だと思います。食事介助にしても、治療しながら食事される患者さんに対してこうしたらいいんだ、こんなことがあるんだという自分の学びになります。そういったいろんな経験からの学びの一つ一つがこれからの介護に役立つと思います。施設ではそこで生活するための介護で、病院ではお家に帰るために元気になっていくための介護で、関わり方は全く違うけどこれから、治療しながら家で過ごす人が増えていく中で、ここでの経験はあらゆることへの対応力になると思います。
B:介護士さんの仕事はある程度見えると思うけど、他の病院とかで看護補助で募集がかかっているのを見てたら、清拭とかあるけど、ここは全く分かれているので、患者さんと直接接することは少ないです。いきなり、患者さんと接するのは難しそうで不安という人やったら、アシストしていってお仕事見ながら、介護士さんになるっていうのもいいと思うし。時折患者さんと接するときも、日々、目に見えて元気になっていく患者さんを見てるとすごく楽しいと思います。付き添いで来られているご家族の方も少しお話してくださるし、その方が退院していかれるのを見ているのが一番うれしいです。看護補助は、看護師や介護士のように、直接関わることは少なくても、患者さんやご家族の方とのコミュニケーションを通して患者さんが元気になっていくのを感じられるだけでも、すごく楽しい仕事ではあるんじゃないかなと思います。