小児外科 
-治療について-

小児外科で扱う病気とその治療について

①新生児・小児の呼吸器疾患、消化器外科疾患

特に新生児期の腹部の手術(十二指腸閉鎖症、先天性小腸閉鎖症、肥厚性幽門狭窄症など)では臍の臍帯に沿って切開を行うなど、傷が目立たない手術を心がけています。

手術開始直後の臍

手術終了直後の臍

②小児泌尿器外科疾患

停留精巣、水腎症、膀胱尿管逆流、尿膜管遺残など

③小児良性腫瘍の治療(血管腫、リンパ管腫)

④鼠径ヘルニア、陰嚢水腫

腹腔鏡による手術を行っています。傷も目立たず、手術翌日に退院可能です。

⑤重症心身障害児(者)の手術

本人や家族のQOLの向上のため、気管切開や喉頭気管分離、腹腔鏡下胃瘻造設や噴門形成術を行っております。

腹腔鏡下胃瘻造設

⑥内視鏡外科手術

当科ではほぼすべての病気に対し胸腔鏡下手術や腹腔鏡下手術などの内視鏡外科手術を行っております。腹部や胸部を大きく切開して行う従来の手術と異なり、腹壁や胸壁の数か所に小切開を加え、そこから観察用のスコープや手術する器械を体の中に入れ、体の外から操作して手術を行う方法です。患児の負担が軽減されるのに加え美容的にも優れており、手術後の傷はほとんど分かりません。
胸腔鏡下手術:先天性食道閉鎖症、先天性横隔膜ヘルニア、肺嚢胞性疾患、漏斗胸など
腹腔鏡下手術:先天性胆道拡張症、噴門形成術、鼠径ヘルニア・陰嚢水腫、虫垂炎など

⑦ロボット支援手術

当科では昨年から「ダヴィンチ」という医療ロボットを用いた手術を開始いたしました。高難易度手術である左上縦隔腫瘍摘出術と胆道拡張症手術の2例の手術に成功しております。手術は高い質と安全のもとに実施され、いずれの患児も術後経過は良好に経過し、1週間で退院されています。ロボット支援手術は成人領域で適応範囲が拡大され、導入している施設も増えておりますが、小児外科ではまだ少なく、関西では当院で3施設目です。私たちは今後も安全性を担保しながら、手術支援ロボットを用いた質の高い治療を提供するように努めてまいります。

⑧小児悪性固形腫瘍(小児がん)治療

小児がんの治療は手術だけではなく、抗癌剤治療や放射線照射などを適切に組み合わせて行う(集学的治療といいます)ことで最善の治療結果が得られると考えられています。当センターでは小児外科が主体となり関係診療科と連携しながら小児がんの集学的治療を行っています。

⑨胎児診断

胎児超音波検査・胎児MRI検査による胎児の病気の出生前検査を行っています。小児外科が治療する新生児外科疾患の多くは妊娠早期に発生します。胎児診断するることで、生まれてくる赤ちゃんだけではなく母体にも対しても、出生前から出生後まで一貫とした治療を進めることができます。胎児期に病気を認めた場合は、関連診療科との連携による周産期管理を行っています。

⑩各種検査

消化管内視鏡、気管・気管支内視鏡検査(呼吸器疾患の診断と治療)
尿道・膀胱鏡検査(泌尿器疾患の診断と治療)
消化管内圧検査(胃食道逆流症・食道アカラジア、慢性便秘・ヒルシュスプルング病の診断)
携帯型24時間食道pHモニター(胃食道逆流症の診断)

⑪特殊治療

気道疾患に対するレーザー治療
異物の誤嚥・誤飲に対する透視下・内視鏡下異物摘出
新生児重度呼吸不全症例に対する一酸化窒素(NO)吸入療法、人工肺(ECMO)治療
血液透析など体外式血液浄化療法

⑫小児救急

小児2次救急と3次救急を365日24時間体制で行っています。

手術件数

2023年1月から12月の主な手術件数

疾患・術式 2023年
頭頸部 正中頸嚢胞 3
気管切開 3
喉頭気管分離術 1
気管切開口再形成(肉芽切除含む) 1
体表・腹壁 臍ヘルニア 22
精巣固定術(捻転) 6(0)
リンパ管腫硬化療法 3
皮下腫瘤摘出 2
その他 2
腹部 肥厚性幽門狭窄 3
尿膜管手術 2
総胆管結石採石術 2
鎖肛手術 1
VPシャント留置(腹部操作) 1
胸腔鏡 横隔膜ヘルニア 1
漏斗胸手術 3
腹腔鏡 鼠径ヘルニア 56
虫垂切除術 17
腸重積整復術 5
噴門形成術 3
胃瘻造設 3
腸閉塞手術 3
回盲部切除術 1
メッケル憩室切除 1
ロボット支援手術 上縦隔腫瘍摘出(神経節芽腫) 1
胆道拡張症手術 1
腫瘍 悪性 2
良性 1
内視鏡検査・処置 気管支鏡(処置) 10(3)
胃カメラ(GIF) 7
大腸カメラ(CF) 3
膀胱鏡 2
生検 肝生検 2
リンパ節生検 0
中心静脈路確保 長期留置型CV留置 14
新生児 先天性横隔膜ヘルニア 1
気胸(胸腔ドレナージ) 5
食道裂孔ヘルニア 1
腹壁破裂 2
小腸閉鎖 1
鎖肛手術 1
人工肛門造設 1
リンパ管腫硬化療法 1
大腸カメラ 1
VPシャント留置(腹部操作) 1
総数 202
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