放射線部の場所は、1階と地下1階です。検査や治療の種類によって場所が異なります。
検査に来られる外来患者さんは、まず1階正面玄関に入って右側すぐに配置している「自動受付機」で来院受付をし、タブレット端末を受け取ってください。
一般撮影・歯科・マンモグラフィ・骨密度・CT・MR・TV検査を受ける方 → 1階の放射線受付
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放射線治療・核医学検査を受ける方 → 地下1階の放射線治療・核医学検査受付
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放射線部は国家資格を持った44名の診療放射線技師が所属し、検査及び治療をおこなっています。(2024年4月現在)
奈良県北部の基幹病院の職員として自覚を持ち、知識と技術の研鑽に努めています。
日本診療放射線技師会及び日本放射線技術学会の会員となる等、学会や研修会に積極的に参加し、最新の医療を提供することで地域医療に貢献します。
専門技師・認定資格 保有人数
専門技師 | 人数 |
---|---|
救急撮影認定技師 | 4 |
放射線治療専門放射線技師 | 6 |
放射線治療品質管理士 | 5 |
放射線管理士 | 4 |
放射線機器管理士 | 4 |
核医学専門技師 | 2 |
検診マンモグラフィ撮影認定技師 | 8 |
医療情報技師 | 1 |
磁気共鳴専門技術者 | 1 |
X線CT認定技師 | 6 |
肺がんCT検診認定技師 | 2 |
画像等手術支援認定診療放射線技師 | 1 |
血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師 | 1 |
IV staff | 4 |
各種免許等 保有人数
各種免許 | 人数 |
---|---|
医学物理士 | 1 |
第一種放射線取扱主任者(試験合格含む) | 9 |
第一種作業環境測定士 | 1 |
衛生工学衛生管理者 | 1 |
第一種衛生管理者 | 1 |
ICLSインストラクター | 2 |
臨床実習指導教員 | 6 |
日本DMAT隊員 | 1 |
放射線部の概要
一般撮影
一般撮影とは、胸部・腹部・四肢の骨などをX線で撮影することです。
撮影室は4部屋あり、全ての装置がFPD(フラットパネルディテクター)と呼ばれる、従来よりも被ばく線量を低減させながら、高精細な画像を迅速に得ることのできる装置です。
近年、脊椎や下肢などの荷重撮影が主流になってきています。全脊椎や全下肢を立位で撮影できる長尺撮影装置と足専用の荷重撮影台を2部屋配備しており、こちらもFPDを使用してすぐに画像を表示させることができるため、検査時間の短縮が可能です。
撮影の際は、できる限り被ばく低減に努めています。
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FPD
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FPD式撮影台
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荷重撮影台
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長尺撮影装置
ポータブル撮影装置
病棟や手術室、救急外来などにて、撮影室へ出室が困難な患者さんを撮影するための装置です。
7台あるポータブル撮影装置は全てFPDを使用しているため、緊急時でもその場で迅速に画像を提供することが可能です。
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ポータブル撮影装置(島津社製)
3D(トモシンセシス)マンモグラフィ
乳房専用のX線撮影装置です。
マンモグラフィ撮影では乳房を薄く均等に伸ばした状態にして撮影することによって、乳がんの初期症状である微細な石灰化や腫瘤などを検出することができます。基本的には左右の乳房それぞれ、上下方向と斜め方向の2方向の計4回の撮影をおこないます。
当院の装置は「トモシンセシス」という3D撮影機能を搭載しており、乳腺組織や病変を深さ方向まで確認することが可能です。従来では乳房組織の重なりによって発見が難しいとされた病変まで検出できる能力を持つ、最新装置です。一般撮影装置と同様、「高画質」と「低線量」を実現したFPD方式の装置であり、被ばく線量低減と画質の向上を実現しています。
マンモグラフィ専用の椅子を配備しているため、立位での撮影が困難な方でも椅子に座った状態のままスムースに移動し、安全に撮影をおこなうことが可能です。
当院は乳房生検もおこなっています。専用のバイオプシー装置とベッドを配置しており、乳房生検でも上記の3Dトモシンセシス画像を撮影して検査を進めていくことで、より正確で信頼性の高いポジショニングとターゲットの位置合わせが可能です。
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乳房撮影装置(FUJIFILM社製)
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マンモグラフィ専用椅子
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乳房生検専用ベッド
歯科・口腔外科撮影
歯科・口腔外科撮影専用の部屋を一般撮影室と並んだ1室に設けています。
2020年にセファロ・パノラマ・歯科用CT撮影装置を導入しました。こちらも一般撮影・マンモグラフィ等と同様、最新のFPDを使用した装置です。
パノラマ撮影は装置が顔の周りを回りながら撮影をおこない、1枚の画像に全ての歯を撮影することができます。また、顎関節(開口・閉口)撮影も可能です。
歯科用CT撮影はパノラマ撮影同様、装置が顔の周りを回りながら撮影をおこないます。高精細のCT画像が得られるため、任意の角度でより詳しく観察をおこなうことが可能です。歯科インプラントなどの金属アーチファクトを除去する撮影方法も選択することができます。
セファロ撮影は主に歯列矯正治療目的で撮影をおこないます。
同室にはデンタル撮影専用装置も設置しております。こちらは歯根、歯槽骨の状態や智歯(親知らず)の状態を診ることができます。また、歯科インプラント(人工歯根)植立の計画にも用いられています
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歯科用CT一体型撮影装置
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パノラマ
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歯科用CT
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デンタル撮影装置
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骨密度測定装置
GE社製の骨密度測定装置を1台設置しています。整形外科や婦人科領域などにおける骨粗しょう症の予防、診断及び治療に取り組んでいます。脊椎部・大腿骨部にX線を照射することで、骨密度をより正確に測定することが可能です。測定時間は約10分以内で、痛みは伴いません。
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骨密度測定装置プロデジー(GE社製)
X線TV検査
内視鏡検査専用の装置が3台、その他のX線透視検査用の装置が1台、合計4台を設置しています。一般撮影・マンモグラフィ等と同様、全てFPDを搭載した装置を用い、検査や治療をおこなっています。
図1の装置は消化管の検査に使用しています。胃透視や注腸検査、尿路検査、脊椎造影検査、子宮卵管造影検査などをおこなっています。
図2・図3・図4の装置では内視鏡検査時にX線透視を併用する際に使用します。内視鏡の位置をX線透視で目視確認をしながら適切な位置に進め、治療や診断をおこなうことが可能です。気管支鏡検査や大腸内視鏡(大腸ファイバー)、ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)で使用します。図3の装置はERCPの治療に特化した装置です。図4の装置は検査数の増加に伴い、2020年11月に増設しました。
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(図1)富士フイルムヘルスケア社製
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(図2)富士フイルムヘルスケア社製
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(図3)富士フイルムヘルスケア社製
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(図4)富士フイルムヘルスケア社製
体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)
2018年に導入しました。体外から衝撃波を当てて尿路結石を破砕・小さくすることによって身体に傷をつけることなく、尿とともに体外への排泄を促します。また、消化器内科においては胆石や膵石の治療もおこなっています。
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結石破砕装置ドルニエ
(メドテック社製)
CT検査
CT検査はX線を用いて体の断面を画像化する装置です。
短時間の撮影で、任意の断面から身体の内部を観察できるうえ、3D画像を作成することも可能です。
当院のCT装置は、PHILIPS社製スペクトラルCT:1台、Canon社製320列CT:1台、80列CT:1台、手術室にSIEMENS社製 16列CTを1台設置しています。
16列CTは手術室やICU等と同じ5階にあり、手術直後やICU入院中の方でも移動距離が少ない状態で撮影できるため、移動などでお身体にかける負担を少なくする配置にしています。
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Canon
Aquilion ONE 320列
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Canon
Aquilion PrimeSP 80列
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SIEMENS
SOMATOM go 16列
2023年1月、奈良県内への導入は初めて、また近畿圏内でも全身検査を対象とする病院としては初めてとなる、PHILIPS社製の最新装置「スペクトラルCT 7500」を導入しました。

PHILIPS
スペクトラルCT 7500
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造影MIP画像
スペクトラルCTは普通のCTと異なります。
本来X線の波長は連続スペクトルを持つため、低いエネルギーから高いエネルギーまで多くの情報を持っています。しかし普通のCTは単一エネルギーしか使用することができないため、それぞれのエネルギーの特徴を活かすことができず、白黒の画像しか得ることができませんでした。
一方、スペクトラルCTはX線を検出する側である「検出器」の構造が特殊です。この検出器が2層あることでX線が持つ各エネルギーの情報を分別して取得することができ、これによって普通のCTではできなかった以下の画像を取得することが可能となりました。
- 仮想単色X線画像
各エネルギーに応じた画像を作成することができます。腎機能が低下している方でも造影剤量を通常の1/2から1/3へ低減した状態で十分に造影効果を得た画像を撮影することが可能です。
また、低いエネルギー領域(50~60 keV)を使用することで肝細胞癌の見え方を最大限高めることが可能です。通常
50~60 keV
- 実効原子番号画像
物質の実効原子番号を画像化し、定量値という値によって物質を推定することができます。尿路系や胆管内の結石の成分解析や肺の還流領域の描出などが可能です。 - カルシウム抑制画像
普通のCTでは分かりにくいといわれていた骨梁間型転移や骨挫傷の検出、骨折が新しいものか古いものなのかの判別等が可能です。心臓や血管の石灰化の影響を少なくした画像を作成することも可能です。 - 電子密度画像
物質の電子密度の値を画像化することができるため、転移性肝腫瘍などの存在や心臓の心筋の質的診断などの一助となります。 - ヨード密度画像
ヨード(造影剤)密度量を反映した画像です。従来画像に重ねあわせることで、カラー表示で閲覧することも可能です。ヨード量を計測することで、定量的に造影剤の取り込みを評価することができます。 - 仮想非造影画像
水や軟部組織の密度をCT値で表したコントラストを得ることができます。例えば、造影剤のヨード成分を差し引くことで出血なのか否かなどをより正確に検出することが可能です。 - 心臓(冠状動脈)造影CT検査
CTと心電図を同期させ、心筋を栄養する冠状動脈の評価をおこないます。心拍により常に動いている心臓の評価をすることは容易ではありません。心拍数も人それぞれ異なります。高心拍や、心拍変動がある方ほど心臓が止まっているように観察できる時間は短くなります。
そこでスペクトラルCT7500には、Beat to Beat Delay Algorithm(心拍変動自動追跡アルゴリズム)というシステムが搭載されています。それにより高心拍、心拍変動のある方の心臓(冠状動脈)CTでも観察しやすい画像を安定して提供することが可能です。
また、心筋の線維化を評価するために遅延造影/ECV(細胞外容積分画)をおこなう事も、スペクトラルCTの大きな特徴である仮想単色X線やヨード密度画像を用いる事で可能となりました。今までは心臓MRIが主に用いられていましたが、遅延造影CTでも同等の結果を得られるとされています。
私たち診療放射線技師はこれらの多くの情報を駆使し、患者さんへ有益な画像を提供します。
他にも、スペクトラルCT7500装置は低線量の高速スキャンを実現できるという特徴があります。
胸部から骨盤までの検査を約2秒で撮影終了します。
胸部だけの範囲であれば、時間は1秒未満の一瞬で撮影することが可能です。 これによって、息止めがしんどい方の呼吸停止不良や心臓の拍動の動きによるブレが生じた画像がほぼ皆無となりました。
MRI検査
MRI検査は、磁石と電波を用いて体内の水素原子の分布を画像化する検査です。
X線による被ばくがなく、造影剤を用いずに頭部血管などを描出することが可能です。
ペースメーカーやクリップ、インプラントなどの体内金属を埋めこまれている方や閉所恐怖症の方は、検査をおこなうことができない場合があります。 当院はSIEMENS社製の装置が3.0 T(テスラ)2台、1.5 Tが1台の合計3台を設置しています。
そのうち1台は2022年6月に装置の更新をし、最新の装置を導入しました。
最新装置の導入に伴ってさらに高画質な画像を提供するため、撮影する際の条件設定の最適化をおこないました。
比較的長時間かかるMRI検査の時間短縮化に向けて日々努めています。
3.0T装置 Lumina
(SIEMENS社)
※2022年6月新規導入
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3.0T装置
(SIEMENS社)
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1.5T装置
(SIEMENS社)
胆嚢や胆管、膵管を同時に撮影するMRCP(MR胆管膵管撮影)では、新しい技術である「圧縮センシング」を使用し、従来よりも高分解能の3D MRCPをより短時間で撮像することが可能になりました。

当院
自由呼吸下・横隔膜同期
撮影時間:1分強
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心臓MRIでは、T1値をピクセルごとに定量評価する「T1 mapping画像」を撮影することが可能です。
例えば上図の急性心筋梗塞(AMI)の入院1週間後のT1 mapping画像では、造影剤を使用しなくてもT2脂肪抑制Dark Blood画像と同領域に、浮腫によってT1値が延長していることがわかります。このように各ピクセル値をカラー表示することで多くの情報を得ることができます。
血管撮影
血管撮影室は血管の状態や血液の流れを調べる検査と血管の狭窄や動脈瘤(コブ)を治療するIVR等をおこなう部屋です。
鼠径部(足の付け根)または腕の動脈からカテーテルという管を通して、造影剤を目的の血管に流しながらX線透視や撮影をし、診断や治療をおこないます。
カテーテルを用いた検査・治療の大きな特徴として、外科的手術のように身体を大きく切り開くことがありません。そのため身体に大きな傷を付ける事なく(非侵襲的と表現されます)、カテーテルからバルーンで狭くなった血管を拡張したり、ステントという器具を用いて血管を形成したり、塞栓物質やコイルを使って動脈瘤を塞栓する等の治療をおこなうことが可能です。
当院は血管撮影装置を3台設置しています。全てが最新のFPD装置です。
2021年にAngio-CT装置を新規導入したことで、腹部は血管撮影をしながらCT検査をおこなうことができるようになったため、手技をより確実に進めることが可能になりました。
他の2台はバイプレーン(カメラがふたつ)の頭部及び心臓専用血管撮影装置です。
頭部用装置では片方のアームが身体の周りを高速回転することでCTを撮影することもできるため、その場で3D画像を作成・確認しながら検査及び治療を進めることが可能です。
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Canon社製
腹部用
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PHILIPS社製
頭部用
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PHILIPS社製
心臓用
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頭部血管画像
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心臓(冠動脈)血管画像
ハイブリッドOPE室
当院の12部屋ある手術室のうち、1部屋がハイブリッド手術室です。ハイブリッド手術室は、手術台と心臓・血管X線撮影装置を組み合わせた手術室のことで、手術室と血管造影室、それぞれ別の場所に設置されていた機器を組み合わせることにより、最新の医療技術を提供します。
ハイブリッド手術室であれば、手術のみ、カテーテルのみのそれぞれ単独では治療できない病変に対しても双方を同時に駆使することで治療を可能にすることができます。
私たち診療放射線技師はX線透視や撮影、直ちに高画質な3D画像を作成する等、大動脈瘤の治療やステントグラフト挿入術(血管修復術)などの先進的な手術を迅速におこなうためのサポートを担っています。

SIEMENS社製 ARTIS pheno
核医学検査
当院の核医学検査室にはGE社製のSPECT装置とPET/CT装置があります。
SPECT、PET/CT検査共に他院からのご依頼も承っております。
核医学検査とは、微量の放射線を放出する放射性医薬品を静脈注射やカプセルを飲用することで身体に投与し、体内の臓器から放出された放射線を専用の装置で収集・画像化する検査です。

核医学装置(GE社製)
放射性医薬品は各検査に応じて様々な種類があり、特定の臓器や組織に集まる性質があります。この性質を画像にすることで、CTやMRIのような形態画像(臓器などの形状)だけではなく、血流の分布・臓器の機能や代謝状態などの体が持つ機能的な情報をそのまま把握することができます。体のあらゆる部位の検査が可能であり、検査をする部位によって検査方法が大きく異なります。
例えば、当院では下記のような検査をおこなっています。
ドパミントランスポーターシンチ(ダットスキャンシンチ)
ダットスキャンシンチで投与する放射性医薬品は、ドパミン神経末端にあるドパミントランスポーターに集積します。しかしパーキンソン病やレビー小体型認知症ではドパミンの量が減ることでドパミントランスポーターも減少し、この放射性医薬品の集積が減少することが知られています。ドパミン神経の状態を可視化することで、パーキンソン病やレビー小体型認知症と、その他の疾患の鑑別に役立ちます。

レビー小体型
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アルツハイマー型
脳血流シンチ(ECD・IMP)
認知機能低下はアルツハイマー型認知症の他にも、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症など様々な疾患で起こりますが、それぞれに脳血流が低下する部位が異なっています。またMRI検査で明らかな脳の萎縮が見られなくても脳血流が低下し、認知機能低下が起こっていることもあります。脳血流低下のパターンを見ることで、認知症の原因疾患を鑑別することに役立ちます。下図の脳血流統計解析画像は正常と比べて血流が低下している領域に色付けすることで、血流低下領域をより分かりやすく表示することが可能です。

上記を含めた当院でおこなっている主な検査(SPECT)はこちらの通りです
- 骨シンチグラフィ
- 運動または薬剤負荷心筋シンチグラフィ
- 安静心筋MIBGシンチグラフィ
- 脳血流(ECD・IMP)シンチグラフィ(血流、認知症、てんかん疾患等)
- ダットスキャン(パーキンソン病、レビー小体型認知症)
- センチネルリンパ節シンチグラフィ
- 腎静態・腎動態シンチグラフィ
- 副腎皮質シンチグラフィ
- 副腎髄質シンチグラフィ
- 唾液腺シンチグラフィ
- 甲状腺シンチグラフィ
- 副甲状腺シンチグラフィ
- 肺血流シンチグラフィ
- 肝胆道シンチグラフィ
- 心臓アミロイドーシスシンチグラフィ
- オクトレオスキャン など
PET-CT検査
PET-CT検査は、微量の放射線を放出する放射性医薬品(18F-FDG)を静脈注射し、体内の臓器から放出された放射線を専用装置で収集・画像化する検査です。
身体の細胞は生きるためのエネルギー源としてブドウ糖を利用しています。がん等の悪性腫瘍は正常な細胞よりもブドウ糖の代謝が3~8倍ほど盛んであると言われています。この性質を利用して、ブドウ糖によく似せたFDGという放射性医薬品を用いることで全身のFDGの分布を機能や代謝が異常となっている場所として画像化することができるため、悪性腫瘍の評価や転移、再発の評価に優れています。
また、1台の装置でPET(機能、代謝画像)とCT(形態画像)を撮影することができます。同時に撮影することでそれぞれの画像を重ね合わせることができるため、より診断の精度を上げることが可能です。
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PET-CT装置(GE社製)
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PET-CT画像
当院の装置は優れた感度特性と最新技術の機能を持ち合わせています。
特に、最新の画像再構成の方法である「Q.Clear」という技術を全症例に使用しており、従来の手法(OSEM)よりもさらに定量精度とSNR(信号雑音比)が向上した、高画質な画像を提供することが可能です。
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検査の流れとしては、放射性医薬品を静脈注射した後、薬剤が身体の各臓器にしっかりと集まるまで、しばらくの間は専用の「待機室」でゆっくりと過ごしていただきます。その後、PET-CT検査室へ移動して撮影します。撮影終了後は専用の「回復室」にてしばらくゆっくりと過ごしてから退室していただきます。回復室にはテレビがございますが、ご自身で持参された本などを読んでいただいても構いません。当院の待機室・回復室は車椅子の方も移動できる広さと明るい空間を提供しております。
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PET検査用 待機室
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PET検査用 回復室
PET-CT検査 保険適応疾患
- 悪性腫瘍(がん、悪性リンパ腫など)
- 心疾患(心臓サルコイドーシスを含む)
- 血管炎
- てんかん
放射線治療
当院では放射線治療装置2台による外部照射をおこなっております。様々な疾患に対し、充実したスタッフ(放射線治療専門医や放射線治療専門放射線技師、放射線治療品質管理士、医学物理士、がん放射線療法認定看護師)により患者さんの病態や生活環境にあった放射線治療を提供しています
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放射線治療室1
VersaHD(ELEKTA社)
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Synergy(ELEKTA社)"
放射線治療室2
Synergy(ELEKTA社)
外部照射
通常照射に加えて強度変調放射線治療(IMRT)、定位放射線治療(SRT)などの高精度放射線治療を積極的に取り入れ、画像誘導放射線治療(IGRT)により高い照射精度を実現しています。
IMRT(強度変調放射線治療)
IMRTは放射線の照射中に放射線の強さに強弱をつけ、腫瘍に対して集中的に照射をおこなうことができる方法です。腫瘍の形に合わせて放射線を照射することができ、照射したくない部分(温存したい臓器など)をできるだけ避けることができます。
当院はIMRTの中でも、回転をしながら照射するVMAT(回転型強度変調放射線治療)での治療をおこなっており、従来のIMRTよりも短時間での照射が可能です。頭頚部腫瘍や前立腺がんに対してよく用いられます。
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左:従来(対向2門照射) 右:VMAT
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左:従来(6門照射) 右:VMAT
定位放射線治療(SRT)
定位放射線治療/体幹部定位放射線治療は、比較的小さながんに対して多方向から放射線を集中して照射する治療方法です。通常の放射線治療よりも1回に大量の放射線を短期間(肺癌、脳腫瘍であれば5回程度)で照射します。手術の対象(特に肺癌)であっても、ご高齢、合併症などの理由で手術が難しい方、手術を拒否されている方などが対象になります。
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肺定位
脳腫瘍などが対象となる頭部の定位放射線治療では、治療の位置合わせの誤差が1mm以内という高い精度が必要です。 当院における頭部の定位放射線治療は腫瘍の大きさが直径3cm以下の原発性脳腫瘍や転移性脳腫瘍、脳動静脈奇形などに対してガンマナイフと同様に治療することができます。
さらにVMATの照射方法を用いて、複数個の頭蓋内病変を一度に定位的に治療することができます。
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多発脳転移に対する脳定位
超音波画像照合装置(Clarity)
前立腺癌に対する治療では超音波を用いたモニタリングシステム(Clarity)を採用し、治療中の前立腺の動きを確認しながら、非侵襲性かつ高精度の放射線治療をおこなうことができます。
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前立腺癌に対する治療
放射線治療計画装置(Monaco)
線量計算アルゴリズムはMonteCarlo法を搭載しており、人体の複雑な構造においてもより高精度な線量計算が可能です。腫瘍に対して適切な線量を投与し、正常組織に対して線量を低く抑えるために正確な線量計算と最適化を行うことができます。
さらに当院では、高いレベルの放射線治療を行うために、治療計画コンペティションに積極的に参加し、第4回(2名認定)、第5回(3名認定、うち3位入賞1名)の実績があります。
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画像情報管理
放射線部の画像は、一般撮影から血管撮影の拍動する心臓の動画まで、サーバーで保管・管理されています。そのため外来や病棟、手術室などでもモニターで観察できるようになっています。
尚、従来は当院へ紹介される場合はフィルムを持参していただいておりましたが、当院のフィルムレス化に伴い、画像データを書き込んだCDを持参していただく様になっております。
学生実習の受け入れ
当院は臨床実習指導教員(日本診療放射線技師会)認定取得者が6名在籍しており、全国の診療放射線技師養成校の学生の病院臨床実習を毎年受け入れております。
学生の方々にはDPC特定病院群(大学病院本院と同等の医療レベル)に指定を受けた当院での高度な医療技術と、県立病院機構職員の丁寧な接遇スキルを学んで将来へ活かしていただけるよう、病院の業務に支障がない範囲で指導しております。
患者さんにおかれましては、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。
臨床研究について
放射線部では、放射線分野での医療の発展のため臨床研究に取り組んでおります。
詳しくは、当センターのホームページ「医の倫理委員会・研究等の情報公開・公的研究費関連規定」をご確認ください。
資料画像提供メーカー一覧
CT:PHILIPS
MRI:SIEMENS
血管撮影:PHILIPS
核医学検査:GE(Q.Clear)
放射線治療:ELEKTA(装置)